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cryptoboxの微妙にうまくいかない日々

【湊かなえ】白ゆき姫殺人事件:感想

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めっちゃおもろかった。

俺は湊かなえを食わず嫌いしていたが、完全に間違いだった。

 

しかし、食わず嫌いをしていた理由がある。湊かなえを初めて拝見したのはテレビだった。その時SMAP香取慎吾の印象を一言で表す、みたいな企画をやっていて、「香取慎吾は闇がどうのこうの~」と、いい年したおばはんが厨二病みたいに熱弁していたからなんかこいつ苦手だわーと感じてしまったのだ。

 

でも、最近気づいたことがある。俺が食わず嫌いしてた作者の作品ってだいたいおもろい。小説にかぎらず、音楽や映画とかも。これからは食わず嫌いしてることを自覚したら見てみよう。

 

話は白雪姫殺人事件に戻るが、これは衝撃的な作品だ。小説といっていいのだろうか?情景描写が全くなく、登場人物の独白とツイッターのつぶやき、新聞や雑誌の記事がまとめられているだけだ。なのに、面白い。ストーリーとして成立している。どんでん返しだってあった。こんな作品に衝撃を受けない人がいるだろうか?

 

また、この物語の主人公である容疑者について、根掘り葉掘り掘り下げられていくが、事件の真実に彼女はほぼ関係なかったのだ。にも関わらず彼女はスポットライトをあてられ、彼女を知る他人から様々な証言が飛び出す。しかもその証言は人によってまちまちで、彼女の人物像が二転三転していき、彼女が何者なのかわからなくなっていく。事実、彼女本人ですら自分が何者かわからなくなったようだった。人の目に映る他人は本当にその人自身なのか。

 

人はフィルタごしに物事をみる。人の本質とは果たしてどこにあるのだろうか、と考えさせられる作品だった。